今週の700文字「別れの現場の本質」

 僕は別れ際に悲観的になるようでは、まるでなくしたものをまだ探している子供みたいでなんだか落ち着かないなと思ってしまう。それでも、僕はたまに心に一抹の寂しさを浮かべては、それを心の引き出しに入れてぐっと閉じ込め、かと思えばふとした時に眺めてみて懐かしさの幻影を追ってみる。そこに未来はない。分かっていてもすがることは、おそらく心を保つのに必要だと思う。人は未来に向かうが、身体は過去の積み重ねで出来ている。 我が放送部の顧問の突然の旅立ちに戸惑ったのは僕だけではなかった。部員とは一年の経験の差みたいなものがある(同級生も去年入部してきた)が、それでも積み上げてきた信頼は大きく、それなりの心配と不安があった。うちの顧問は放送部経験者だ。そういうひとが顧問として放送部にいるのは相当珍しいケースだとも思う。幸い放送部とは顧問ありきではない所も多いのだが、そうは言ったって事務的にはかなり顧問方の力を借りることも多い。 先生は云った。「別れは悲しかったらアカンやんか」 先生も不安だったろう。違う道に踏み出して、再びこういった現場に帰ってくるとはいえ、違う環境に交わる恐怖みたいなものが誰にでもあると思う。その恐怖とどう向き合っていくか、それこそが別れの現場の本質だと思う。背中を向けてドアを閉めるとき、既に決意は固めていたい。 僕はもうあと数ヶ月でこの居場所を去り、そして一年で巣立つ。 そういえば、以前ある有名講師の方がこんなことを言っていた。「自分の居場所を壊さないといけない時がある」。うろ覚えの格言はまたも心に…

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方眼ノートとかの話

 僕は方眼ノートをこよなく愛している。別に理由はない。ただ、罫線型では縦が崩れやすい自分の文字は、寧ろ伸び伸びさせといたほうが良いに決まってる。そのほうが自分のアイデアが開放できる。と書くと何というか意識高く聞こえるが、とりとめもないことを描いているだけなので別に意識は高くない。 方眼紙と言ってもメーカーにより書き心地が違う。マルマンはしっかり固い感じ、オキナ(プロジェクトペーパー)はそれに比べれば滑らか、LIFE系はスムーズ(個人の感想です)。でもやっぱり一番書きやすいのは程よい芯の保持力を誇るコクヨである。 こうしていろいろな方眼ノートを使っていったりすると、今度は「おじいちゃんノート」として一気に有名になった中村製作所のナカプリバインが気になってくる。書き味も気になるが、やはりぺたんと開くそのノート自体に興味がある。開いたらA3とか、めっちゃ使い勝手いいじゃん。最高なのでは? 方眼ノートに限らずノート術ジプシーであることは自認している。ノート術の本はそれなりに読んでいるつもりだ。「情報は一冊のノートにまとめなさい」も過去実践したが続かなかったし、他の本も全く同様。最近出版されたもの、「コクヨノート術」などは読めていないものの、多分続かないことは容易に予想できる。自分なりにノート術を固められるかどうかはこれからの自分に懸かっている。  そしてまた、方眼ノートに限らず文房具が好きである。ただ油性ボールペン、特にジェットストリーム、お前はダメだ。あのインクの出の悪さがしんどい。読みにくくなってく…

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流動体について、について

 まさか自分が学生のうちに小沢健二の動く姿をこの目に収めることができるなんて思わなかった。と言っても、僕は本当にオザケンファン見習いの見習いで、知っている曲が少ない上に、音源も「刹那」しか持ってないのでどうにも、なんだけど。 ラジオで流れた「流動体について」は優雅さの権化だった。東京の街を歩いた経験がただの一度しかなく、しかも歩いた場所もまるっきり違うので、アーバンライクな歌詞は想像で補っても不足するところはある。けれど、すべてを包み込む煌めいたメロディー。 小沢健二が歌った世界観の中で、過去への思考を巡らせて、言葉の無力さを認めながら間接的な影響力を述べる曲は、これからも際立つものになる。怒涛の転調と一見して難解な歌詞から、それは彼自身が辿った(それは東京からアメリカに渡って別活動をしていたあいだなのか、それとも別のことかはわからないけれど)思考の旅を綴ったものなんじゃないだろうか、と連想してみるのだった。  小沢健二といえば、僕は「強い気持ち・強い愛」が去年の長時間特番のテーマソングに使われたことを思い返していた。あれもストリングス周りは服部隆之氏だったなぁ、と考えながらそれを聞く。聞いた後の多幸感と祭りのあとのような感覚を、うまく味わえる曲だ。神様が魔法をかける、ってこの時の弾けかたを認識しながら。 確かに「流動体について」と「強い気持ち・強い愛」では環境も雰囲気も違う。「流動体について」について言うならば後者の無責任なまでの明るさがスッと消えて、重みのある曲が完成した、というイメージを僕…

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