寓話がTwitterで利用されるのはなぜか(2018.03.20)

 ツイッター上で「通りすがりに女子高生が正論を言った」ツイートは嘘っぱちだとするものが見かけられる。まあ大元は知らないが、そういう話が多くなってきたのは確かだ。 自分の主張をわかりやすくするためにそういったシチュエーション、あるいは例えや寓話を使うことが流行りで、「これはこういうことが起きているのと一緒のことです」とまとめあげれば自分の主張を拡散する手助けになる。 しかしそのような論法は本来あまりにも高度なものなのではないか。詭弁や論理の間違い、同じではないものを同一と見なす初歩的なミスを犯していたときには、どんな主張の説得力でも無に帰せられる。なのにそのようなハイリスクな論法を使いたがる「ツイッタラー」がいるのはなぜだろうか。そしてそれが大きく出回るのはどうしてだろうか。  昔話・寓話は実在しえない話であるが、テーマには教育的な性格を持っている。教訓である。「三匹のこぶた」なら「一番頑丈だったレンガの家は建てるのが大変だ。でも藁や木で作ったほかのこぶたたちの家は潰れてしまったが、レンガは潰れなかった。だから努力はどんなに大変でも大切だ」とか、「北風と太陽」であれば「北風のように厳しい態度で人に接するより太陽のように暖かな気持ちで人に接せば相手も心を開いてくれる」とか。 教訓を持つ話というのは、常にそれを作ったり演出した人の思想性を内包する。「三匹のこぶた」を作った人が努力家であるかどうかは知り得ないが、努力を大切にする人であったかもしれないというのはここでわかる。そして、いま先ほど取り上げたツ…

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生と死(2018.03.01)

 先日、毎日その日その日に自殺した人とそのプロフィールを紹介する小史的なアカウントを Twitter でフォローした。ひとりひとり、死因も動機もその後もまるっきり違う。死は、べつに自分で決めなくても勝手に決められるかもしれないこの俗世において、なぜ彼らはその方法を自死としたか。 答えはその中を見つめれば出てくるもので、例えば、大阪のある小学生のように、小学校の統廃合という思春期に敏感なテーマが重なったことで自身の思想性を強烈に訴えたり、ある局のアナウンサーのように生きる苦しみに耐えられず死ぬことを決めたりする人もいる。これは間違いなく、生きることが出来たなら、いや「善く」生きることができる状態だったならば生きていけたのかもしれない。でも実際はそうできない――この苦しみを誰にも伝えられないから、生きることへの熱情と死ぬことへの希望に傾斜する、と思う。これが実際死に直面したときにどう思うかは、なんというか、その時にしかわからない。僕も小さなころはとてもいじめられて大変だったしそういうことも考えたけど、先のような人々の抱えた希死念慮とそれって同じだったのかなんて、わからない。 この世界には理想と現実があって、いつの日もその狭間に苦しむ。疲れてしまってもう涙も随分流しちゃいなかった。むげにしてしまった人間関係(理想が高すぎたのだと思う)、心にもないことをしてしまったときの心痛を誰も拭っちゃくれないし、そのくせ、そんな話が多いもんだから、これは単に対人コミュニケーションが下手くそなだけなのかな、とも思ってし…

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無力感(2018.01.15)

 この頃の耳たぶがちぎれそうなほどの寒さに自転車を漕いで最寄駅へ行くまでの十数分に、僕は物思いをめぐらしながら無力感に打ちひしがれている。そういうときは朝の静寂がとても好ましい。悟りに入ったような錯覚を起こせる。もうずっと前から脱力感を感じているけれど、朝の突発的かつ習慣的なえづきとともに学校に行くまでにはすっかりその日のことで頭がいっぱいになり、何を考えて悩んでいたかも忘れてしまう。あるいは休日なら、そうなる前に radiko をつけて朝を掻き消す。なるべく心を賑わせて現実逃避して、それから一日のやるべきことを淡々とこなして夜を使い果たしていく。 不思議なことに、悩んでいたことは夜になると結構思い出せる。おとといは、フランス人の約8割が陰謀論を信じているらしい、というニュースを見て、どうしたって人の考えは他人の一押しじゃ変わんないよな、という無力感にさいなまれたし、その数日前は「世の中は結局多数派が見ているものに合わせながら平均値をとっているから、公平さが担保されないな」と思ってどうしようもねえなと吐き捨てたりして、結局こういうことを何年も続けているから偏屈な人間になってしまったんだなという自覚はある。結局は、自分も考慮のうちに入れては軽蔑することを繰り返したあの小さくて脆い複雑怪奇でどうしようもないコミュニティが、自分の中にどうしてもあって、あるいは見たいものやなりたいものだけ見続けて、袋小路で叫んでるだけなんじゃないかといつでも思っている。昔から泣き虫だったので、余計に無力感についてのアンテ…

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