地元意識と高校野球

 夏の高校野球は終盤を迎えている。延長に次ぐ延長、快打に次ぐ快打。 活躍しているのは、大半が私立高校だ。2000年代に入り、公立校のベスト8入りは1~2校、出場自体も少ない。そんな中で、他県から選手を集める「野球留学」に対し、「地元意識」を見る公立校もしくは私立校に甲子園の観客の目が集まるケースがある。 先日の青森山田 対 彦根東戦。滋賀でも超がつく進学校である彦根東側のスタンドは、(甲子園から近いということもあったのか)「井伊の赤備え」を受け継いだように赤かった。 一方の青森山田も、一昔前の「地元代表全然いない系」のイメージを覆すような、青森の選手を中心にしたメンバー。まさしく、地元愛をぶつけ合う試合だったのではないかと感じた。ちなみに、この試合で青森山田は「紅」を演奏していたが、赤備えに紅をぶつける度胸、恐れ入った。 結果としては青森山田の勝利だったが、このような地元愛がぶつかりあう試合は珍しい。熊本代表の秀岳館は、以前大阪のクラブチームをまるまる引き抜いて話題になったし、今年に関しても数割が私立校の野球部だなあ、というメンバー構成だった。 観客は、もっとスケールを大きくするならば、各都道府県民はどのようなチームに地元意識を覚えるのか。県立校でも私立校でも気にしないという人が多いと、ことTwitterでは思う。あるいは、周りに聞いてもわかる。県境に住む方ならば、むしろ隣県の代表を応援するケースもあるかもしれない。 選手に関しても、別に地元意識が重要ではない、と思っていそうだ。学校の地元に愛着を…

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尾道~二度目の旅は慢心に塗れる

 “海が見えた。海が見える。五年振りに見る尾道の海はなつかしい” 林芙美子の Wikipedia を見ると、波乱万丈な人生を正確かつスピード感ある筆致で収めている。それも Wikipedia の各編集者がいう過大性につながっていないのもいい。 とは言うものの、僕は林芙美子の文学作品を一切読んだことがない。尾道ゆかりの人物で言うなら、大林宣彦の俗に尾道三部作とよばれる映画作品も見たことがないし、志賀直哉の「暗夜行路」も名前しか聞いたことがない。  それくらいの基礎知識もない僕でも、尾道の街は一度目に映ると衝撃的な残像となって頭に残る。海を見るとそれは島と陸を近くに隔て、山を見ると寺社仏閣と住宅が互いに並び立つ坂道の壮観。 そんな「ノスタルジックさ」の先にある本当の街の姿ってなんだろう?と思うのだ。 昨年の夏に尾道に行き、今年も行きたいとなんとかお金と時間の都合をつけて無理やり日帰り旅行を構成した。お金の都合、と書いたがさすがに在来線をうまく使って電車代は安く抑えた。 岡山からの在来線で対面に乗ったサラリーマンの覇気のなさや、岡山の高校生の電車率、着く前に対面に乗ったしんぶん赤旗を読んでいるおっちゃんが鼻をほじっている姿にとにかく突っ込みを入れながら、近づく街の姿をとらえていく。そびえ立つクレーンは自由の女神、尾道水道を目の前にたたえ山々をゆっくりと見る。電車から見ても間違いなく突き抜ける青。 尾道駅の有名な駅舎は、今は工事に入って見ることは出来ない。まだ朝だと言うのに、観光客がかなり歩いているし、…

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